『ソルト焼入れ』の工程を分かりやすく説明します

焼入れの方法には様々な方法があります。

その中で『ソルト焼入れ』というものがあります。

 

その長所は

製品を全方面からほぼ均一に加熱することができます

冷却の速さは、油での冷却に比べて250℃以下の低温域でゆっくり冷やすことができます。

その結果、反り曲がりが発生しにくいです。

それ故に昔ながらの熱処理方法ですが、今現在も多くの需要があります。

 

当社で処理できますのでその一連の流れをご説明いたします。

 

【手順①】結束

非常に大事な作業です。

結束方法により熱処理製品の品質の良否が決まると言っても過言ではありません。

熱処理する製品を針金を使って結束します。

針金の太さは常時5種類を用意しています。

熱処理品の重量によって使い分けております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順②】予熱

製品をいきなりソルトで熱する前に余熱をかけます。

350~450℃です。

製品の大きさにより異なりますが

予熱時間は10~60分ぐらいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順③】本熱

ソルト炉で熱します。

写真のマグマのように赤い部分は

『白いソルト』が高温で熱せられているためです。

高温のソルト槽にすっぽり浸かることで均一に加熱できます。

温度は830~850℃

浸ける時間は製品の大きさにより異なり

社内の有資格者が社内基準に従って決めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順④】焼入れ(マルクエンチ)

熱して一気に冷やします。

この冷やす工程が『焼入れ』です。

ソルト焼入の一番大事なところです。

硬さ、曲がり、反り、歪に大きな影響を与えます。

知識と経験が必要になります。

ソルトバスからすぐ横にあるこの槽に移して焼入れします。

この槽には170℃に保持した液体が入っています。

どのくらいつけておくのか??

ここの判断がソルト焼入の一番の肝となるところです。

社内の有資格者が社内基準に従って決めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順⑤】乾燥

焼入れ槽から取り出し乾燥させます。

製品に付着した余分なソルトを落とします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順⑥】洗浄

さらに湯により洗浄します。

防錆対策はしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順⑦】残ソルト検査

ソルトは常温になると非常に硬くなり、なかなか取ることができません。

冷めてしまう前に残ソルトの検査を1品1品します。

特に細孔は注意をしております。

写真はタップ孔にエアーブローしているところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順⑧】中間検査

この時点で製品の中間検査を行います。

反りや曲がり等の歪の発生が少ないソルト焼入ですが

全く発生しないということではありません。

具体的には、硬度測定、曲がり測定、反り測定などです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【手順⑨】焼き戻し

この後は焼き戻し条件ごとに製品を分けて

それぞれの条件ごとに大気炉で焼戻しを行います。




▼ダウンロード資料
ソルト焼入れと油焼入れの比較

 

 

更新:2022年10月06日